ウルフカブス ハンドブック

第11食

第2星章
信号
セマホア
モールス
音の信号
ゲームと実習


 さあ,君たちは,ここでひとつ眼を開くことになりました。新しいものを探しに出発します。君らは,前よりも体も大きくなり,力も強くなるし,多分少々りこうになったに違いありません。従ってこれからする仕事は,うんと難かしいものになりますよ。その代わり、それを学んでそのテストにパスしたとき「ああ,よくやったなあ」とすっかり,うれしくなることでしょう。違うかしら?
●第2星章

 カブは,第2星章を授かる前に,テンダーバッドと第1星章のテストにパスし,その上次に記すテストについて,カブ隊長を喜ばさねばなりません。・・・・
  1. アルファベットを,セマホアであらわすことを知り,単語をゆっくり送ったり読んだりできること。もし,スカウト隊長を含めた団委員会が,セマホアの代わりにモールスの方をとるならばそれでもよろしい。(セマホアならば小さい旗を用いてよい。モールスの方をとるならば旗は用いてはならない。)
     注意・・・・このテストはなるべく戸外で行ない,少くとも50ヤードの距離をとっ行うこと。
  2. コンパスをつかって,8方位を知っていることを示すこと。
  3. 次の縄結びができ,その使い道をやって見せること。巻き結びともやい結び
  4. すべての物を大切にすることを知り,それを実行していること。
  5. 木,金属,ボール紙,年度,プラスティシン(細工用粘土)または小物品だけで,模型または品物を上手に作ること。または,編み物あるいは,網物,繊り物あるいは彫り物を作ること。
     または,国旗か動物か花かを色をつけて(チョークか絵の具で)自分でスケッチしたもの8枚描いて,それにその名をはっきり記すこと。 メッカノ(Meccano)で作った模型または,一部分作ってある物を組み立てた模型は許されない。
  6. 室内で火を作ること。自転車またはランニングで15語以上の口で伝える伝令をする。これはある道筋を行き間違いなく伝えること。公衆電話がかけられること。もしそれがないならば,非常の場合に病院,消防署,警察に知らせるには,どこへどのように頼めばよいか,それを知っていること。
  7. 両足を揃えて,前回し15回,後ろ回し15回の縄跳びをする。これは自分で縄を回すこと。地上3フィートから3フィート6インチの高さにある長さ12フィート,幅6インチの板の上を歩いて渡ること.
  8. 指の切り傷を洗い清めて包帯をくくること。熱湯による指の火傷または火による火傷の覆い方。かすり傷の中にゴミが入ることは危険である訳を知っていること。簡単なショックの手当の仕方を知ること(電気によるショックは省く)。大人の助けを求めることは重要であることを知っていること。
  9. 自分で選んだ生きている鳥(家に飼っている鳥でなく)3種と木3種およびその他自然物3種を観察して書き記すこと。
  10. 第1星章で覚えた交通規則を,まだ良く覚えていることを示し,他のカブまたは他の子供に規則を守るよう教えてあげること。
     もし,自分の自転事を持っているならば,または自転車に乗れるカブは,規則通りに見張りをすることができ,交通規則の62条から75条までをよく知っていなければならない。
  11. 少くともカブとして9か月間立派なサービスをしたこと。

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●信号

 いよいよ大問題がやってきました・・・・それは,信号の練習をするということです。わが国のウルフ・カブの皆は,一生懸命これに取り組んで良い成績をあげています。スカウトたちは,兵隊よりも2倍の早さで信号を覚えるようです。ガールガイドはスカウトよりも早く覚えますから,ウルフ・カブはガイドよりもスカウトよりも兵隊さんよりも,早く覚えることになるのですよ!

 その覚えかたの大切な点は,文字をただ送り合うだけでなく,間違いなくはっきり送ることにあります。ですから君が信号を送った相手の人が,それを読めるように送らねばなりません。そこで君は立ち方と正しい位置に,腕をきちんとあげる上げ方に,特に気を付けねばならないわけです。

 次に,セマホアとモールスの信号を記しますから見て下さい。しかし,両方を学ぶ必要はありません。

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●セマホア(手旗信号)

 このセマホアで信号の稽古をやり始める前に,君たちは、いったい信号とは何かということを考えてみなければなりません。信号とは,君たちの声では届かないほどの遠方にいる人々にメッセージを送ることです。思った通りのメッセージをあれもこれもこまごまと,お話でなく信号で間違いなく送るということは,実に難かしいことであります。君たちは,両手に旗を持ってそれで通信するのですから,相手の人にわかりやすく読ませるためには,はっきり送らねばなりません。そのため,送り始めから全力を尽くして送りなさい。旧式のやり方で文字を送ると思ってはいけません。君たちはこれから始めるのですから。

 君たちが信号をするときに,送信者は,送る文字にいろいろの名前をつけるのですが、これがなかなか面白いものです。たとえば,Aという字に「エーブル」という名をつけます。そのわけはJ(ジェー)だの、時こはI(アイ)と間違わないよう防ぐためであります。ある人が君にB(ビー)の字を送るとき,BはD(ディー)だの,T(ティー)だのP(ピー)またはV(ヴィー)と聞き違いやすいものですね。ですから送信者はBを「ベーカー」(Baker)と名づけるのです。M(エム)とN(エヌ)も間違いやすいから,Mを「マイク」(Mike)と呼べば間違いは起こりません。どの字もみな名前ができています。

 その一覧表は・・・・
Able(エーブル)Nan(ナン)
Baker(ベーカー)Oboe(オーボエ)
Charlie(チャーリイ)Peter(ピーター)
Dog(ドッグ)Queen(クィーン)
Easy(イージイ)Roger(ロジャー)
Fox(フォックス)Sugar(シュガー)
Gorge(ジョージ)Tare(テアー)
How(ハウ)Uncle(アンクル)
Item(アイテム)Victor(ビクター)
Jig(ジッグ)William(ウイリアム)
King(キング)Xray(エックスレイ)
London(ロンドン)Yorker(ヨーカー)
Mike(マイク)Zebra(ゼブラ)

 こうすると覚えやすくもあるし面白くなります。それは,信号だということを知らない人たちには,何を話しているのかさっぱり分らないからです。たとえば,CAT(キャット)というつづりを,「チャーリイ・エーブル・テアー」と言ったり,DOG(ドッグ)を「ドッグ・オーボエ・ジョージ」と読むからです。

 どの字を送ろうか,どういう言葉を送ろうかと考える前に,手を正しい上げ方を,勉強しなさい。
  1. しっかり立ち,足は少し開き,眼は受信者の方へ向ける
  2. 旗を使うなら柄をしっかり握り,旗にしたがって下に伸ばす。親指は旗に沿わせて伸ばし,柄は腕の上方に向く
  3. 両腕を曲げないよう,いつも真っ直ぐに伸ばす。柄がぐらぐらしないこと
  4. 旗1本だけで作る7つのポジションを知り,その動かし方が正確で活発に動くよう。
  5. 動かしかたを練習するとき,いつも時計が回るように、右手から始まる。

 これで信号の仕方が分ったから,今度はセマホアでするアルファベッドを学ぶことになります。これは大変なことですから一生懸命覚えなさい。次にそれを載せます。

 第1組《これは,AからGまで》AからD(上から真っ直ぐに上げる)までは右手で,その後は左手でします。この7つの字の,送り方をまず十分に知ってから他の字にかかりなさい。これだけでも君たちは易しい言葉を送ることができます。たとえば、BAGだの、FAGだの,FEDだのCAGEとかDEAF。これを送って他のカブに読んでもらうのです。そして,手を止めることです。それから静かにかつ活発にNを打つのです。受ける方の人は,君が考えるぐらいの短い時間は何とも気にかけませんから。・・・・かえって君が手をあんまり振り回すと,何を打つのかさっぱり見当がつきません!

 言葉の打ち方ができるようになったら,忘れてはならないことがひとつあります。それは,どの言葉もそれを打ち終わったら,旗を「用意」姿勢に,さっと戻すことです。・・・・すなわち体の前方に両手を交差させるのです。しかし言葉の各文字ごとにそうするのではありません。そのときは次の文字に移る前に,ちょっと手を止めて一息つけばよいのです。

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●モールス

 君たちは,セマホア(手旗信号)よりも,モールス信号の方がずっと難かしいと思うでしょう.けれども,この方がずっと便利なのです。それはやっているうちに,いろいろな方法でできるようになるからです。たとえば,旗でも,電鍵でも,光などでも打てます。君らが,もしウインクすることが上手であるならば,眼のモールスで「話」ができますよ! ですから,モールスの勉強に初めから旗はいりません。これがセマホアと違う点であります。旗モールスは君たちがスカウトになってから始めてもじゅうぶん間に合います。私は皆さんにできるだけモールスについてお話しようと思いますが・・・・それは君たちの注意を引き,驚くほど多くの「ベスト」をつくさなければできないものであります。

 モールス符号は,点(トン)と棒(ツー)とでできています。このように書けます。・−はAで,−‥はB,というように。そこで問題になることは,トンとツーとの区別はどう表すか? ということです。それはですね,長いのと短いのとでできるのです。何を用いて打つにせよ、ツーはトンの3倍の長さということを覚えておいて下さい。それは書かれたモールスサインを見ればよく分かります。これが・で,これが−で,正に・の3倍の長さです。まだ言いたいことはたくさんありますが,何よりも,まずアルファベッドをモールスで表すことを学ばねばなりません。今までお話したことは,君らがどんな方法で送るにしても,またどんなスピードであるにしても,ツーはトンの3倍の長さだということを良く覚えておいて下さい。もしこれを忘れたなら,たとえどんな方法で送ったにしても,読める人は1人もいないでしょう。

 アルファベッドを覚える一番簡単な方法は次の通りにします。

 字を送れるようになったら,言葉を送るよう努めなさい。字と字のあいだはツー1個の長さだけあけることを忘れないこと。モールスで,次のコードは何でしょうか?「ツー,トン,ツー,トン(やすみ)トン,トン,ツー(やすみ)ツー,トン,トン,トン」それは“Cub”です。

 君たちが送ったり読んだりするのがくせになるまで練習(しなさい。また眠でウインクの練習をするのです(右眼はツー,左眼はトン)。あるいは学校へ行く道とか,夜、寝床についてから「トンツー語」でいろいろの言葉をやってみるのです。

 もうひとつ,忘れてはならないことは,どんな方法で送るにしても,一つの字をトンツーにする場は途中でやめないで,初めから終わりまで続けると言うことです。もし途中で止めるならば,受ける人は,それを1つの字でなく,2つの字だと思うでしょうから。例えば君が0の字を送る場合(それは,−・−・なのですが),君が,その半分(−・)を送って一休みし,そして後の半分(−・)を送ったならば,読む人は,君がNNを送ったのだと受け取るでしょう。

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●音の信号

 これは,ホイッスル(号笛)でします。君たちはふつうしませんね。するのはカブ隊長です。野外でのゲームや作業の時,カブやスカウトが自分勝手にいつでも「ピーピー」笛を吹こうものなら,これほどうるさいものはないでしょう。しばしば,とんでもない間違いや混乱を起こします。けれどもカブ隊長とか組長がホイッスルを吹いたなら,それは何を命令したのか,その意味をはっきり知らねばなりません。一番大切ななことは「気をつけ」の音です。これを耳にしたら何をしていようと,すぐにその言いつけにしたがうのです。気をつけは「ピー」と一声長く吹きます。

 今述べたことは,君たちがテストにパスするため覚える必要があることなのです。けれどもテストにパスしてバッジをもらったら,もう信号は止めた・・・・ではいけません。「練習はまだまだ続けます」と約束しなければなりません。ですから,ここに続けるための面白いヒントとゲームを示しましょう。

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●ゲームと練習

  セマホアとモールスの書き方

 セマホアかモールスかのどちらかで,友達に手紙を書きます。書くことよりも書いてもらってそれを読む練習をする方がもっと良いのです。

 セマホアならば,このように書くのです。

 Aと書くかわりにイと書く。細く立っている線はカブを表わし太い線はその手を表すのです。これは誰かが君の方を向いて送信した形です。ですから,君が送信するときの形と逆回りになっています。次に,セマホアで書いた文章があります。読めますか?

(訳者答,ALL CUBS OUGHT TO KNOW SEMAPHORE カブは皆セマホアを知らねばならない)

 君たちはこの本にあるように,モールスが書けなければなりません。字と字の間に短い間隔を空け,語と語の間に細い線を入れます。

(訳者記,OUV LIKE THISとよむ)〔カナダ本には・・・・・

とあり〕

 (訳老記,DO YOUR BESTとよむ)

 もっとよい方法は,トンはとし,ツーはとするのです。これをくみあわせてAを、Cをと書くのです。このように字と字のあいだに小さい線を入れて繋げばよいし,語と語の間は長い線で繋ぐのです,この丈を読んでごらんなさい。

(訳者答This is a good way of writing Morse.これはモールスを書く良い方法だ)

  セマホアカード

 セマホアの練習に一番よい方法は,1組のカードを作って、それを使う方法です。ハガキの大きさの半分ぐらいの小さいカードを,26枚作ります。これは実際にハガキを半分に折って切ります。けれどももう少し固い滑らかな紙の方がいい。そのカードに一つずつ,この本に出ているアルファベットのセマホア字を絵の具または青い鉛筆で書くのです。もし君が,何の字であったか忘れそうであるならば,そのカードの裏にその字の名を書いておいてもよいです。さてこの全部のカードをよく切ります。そして表向きにして握ります。それを机の上に乗せカードに書いてあるサインを見て,何の字かを答えて机の上に伏せるのです。こうしてどれだけ早く全部が言えたかを試してみるのです。一つでも間違えたら,もうその回は無効にします。そこでやめてもう一度カードを切って始めからやり直すのです。これが早くできるようになったら,セマホアの読み方はかなり上手になるでしょう。

 この練習法の良い点は,カードを一目見た瞬間君は送信者が君宛てに打ってくる生のセマホアを受けるのと全く同じ気もちになる点であります。という訳は,君が字を作って送るときの形と全く反対のまわり方で出てくるからです。セマホアはこのように自分の方から,打つときと逆回りに打たれてくるので,皆から難かしいと言われるのですが,このセマホア・カードは,その難かしさを征服する助けと,なります。鏡の前に立って練習してはなりません。これは読む練習にならないからです。君たちが自分の姿を反射させて見たいならば,それは良くない考えです。例えば鏡の前に立ってAの字をあげるとするならば,鏡の中のカブは,左手をあげているように見えます。右手ではありませんね。これではAではなくてGになるからです。

  セマホア信号交換局あそび

 このゲームはだいたい12人でします。カブはそれぞれ好きなアルアアべットをひとつずつ選びます(このアルファベットは,大きなカードにインキで書いてある)。それを,胸にピンで留めます。カブは(野原か広場に)別れて立らます。(その距離はカブ隊長がカブたちの力に応じて決める)。立つ隊形は大きな半円形で,その中心に隊長が立つのです。これは皆から見えるためですね。隊長はセマホアで二つの字を打ちます。打たれた字を持っているカブは(郵便ゲームのように)入れ替わるのです。たとえば,AとPを打つならば,AのカブとPのカブとは前へ進み出て、駆け足で場所を入れ替わるのです。どのカブもよく目を見張って,隊長のすることに注意していなければならないというところに,このゲームの意味があるのです。カブは皆「5点」持っています。もし隊長が次の字を打ってから六つの数を数えない内に駆け出すと一点減らされます。時間が来たときに一番減点の少ないカブが勝ちになります。

 もちろんこのゲームの間,おしゃべりは厳禁です。隊長は,どのカブも同じ回数になるようにしなければならない。あまり長時間このゲームをしないこと。人数は12人以上にならないこと。同じ字を何回も送る面白くなくなります。このゲームはセマホアの読み方を教えるとともに,注意力を養うゲームです。(しかし,あまり堅くなり過ぎないようにすること。2人のカブが入れ替えで駆けている間は,緊張を解くようにします。)もし,組長が良い信号手ならば,打つのは,組長にやらせて,隊長は審判と点数係になるといいですね。

  遠征ごっこ

 田舎へピクニックや野遊びに出かけるとき,これを「一大遠征ごっこ」とすることができます。隊を茶色の「水兵隊」と赤皮膚「土人隊」と「探険隊」および敵地に入って行く「イギリス兵隊」との四つに分けます。通信は全部,旗とか笛とかの信号でしなければなりません。

 音や体を動かす信号の簡単な練習のため,カブたちは隊長が送る信号に従って,野原を駆け回らねばなりません。言う通りにせねばならないのです。隊長は一番のろく命令に従ったカブの名前(または番号)を大声で言います。

 これは敏捷にするためです。ある命令(例えば二声のするどい音)を出した後,「アズユーアー」(“as you were”)の信号を二つ三つを混ぜて送るのも良いプランです。

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