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第1話 〜恐怖の“闇鍋”物語〜 |
![]() それはスカ(スカウト)鍋、ジャンボリー鍋、キムチ鍋、そして今回登場の「ヤミ鍋」だ。そのヤミ鍋を実施するという噂を聞いて、謀団ボーイ隊におじゃました。 実は、このヤミ鍋、私がスカウトの頃に、各隊でブームになったのだが、その頃は、無理・無茶・無謀の「三無の仁義」が平然と行われていたこともあって、翌日の病院でスカウトと良く出会うという過激なものでもあった。それ故に、当時の隊長により「封印」された・・・という曰く付きのプログラムなのである。 そんな危険なヤミ鍋ではあるが、刺激に飢えた隊長と畏れを知らない班長との協議で復活することとなった・・・とのことだ。 ヤミ鍋には絶対守らなければならないルールがある。それは・・・・ 「出されたものは必ず食う」 である。 「食べなくてはいけない」ではなく、「食べよう」でもなく、「食う」のである。 そう、自発活動だ。自らの責任において、自分で器に盛ったものは、何があっても「食う」のである。それがスカウトの由緒正しいヤミ鍋なのだ・・・とは言うものの、今回チャレンジするスカウトは、まだ耐性がないので、今回の目標をライトな「完食」と決めたとのことだった。まぁ、結局は「食う」のである・・・。 スカウトが集合し、 セレモニーが行われた。そして鍋に具を入れる順番を決めるためのゲームを行なった。 グループごとに丸太の上に乗り、丸太から落ちないように指令通りの順番に並び変わるという単純明快なゲームである。これはイーグル班が優勝。コンドル班、タイガー班の順に決まった。いよいよ、楽しい「具」投入の儀式へと移る。具材投入の次は、どの順番で盛るかである。実はこの順番によって、幸福にも不幸にもなってしまうのである。 というのは、ヤミ鍋には「地雷」と呼ばれる「これだけは勘弁してくれ」という食材が必ず入っている・・・いや、入れるヤツが必ずいる。しかし、この「地雷」が何であるかは、実は投入した本人も分からないのだ。なぜなら、いろいろな食材のエキスやらの混ざり具合によって、それがどう化けるか全く見当がつかないからだ。また、そのときの投入食材の種類や量、なべ奉行の加減ひとつで「地雷」が、鍋のどの位置に来るか、つまり、底に来るか上に来るか分からない。 何がMY食器に入るかは、まさに「神のみぞ知る」のである。 今回も正にそんな状態だった。 ![]() そのゲームとは、全員で輪になって手をつなぐ。その輪の中央にバケツの上に棒をただポンと横に置く。隊長の合図で、手を離さずに前後左右に動き、動かし、どんどん輪を変形させながら、他のメンバーを中央の棒に触れさせ、落とさせる。棒を落としたり、手を放したりしたらアウトで、最後まで残った人が勝ちと言うものである。 このゲームは盛り上がった。それもそうだ、どの順番かは大事だ。スカウトたちは、かなりヘロヘロになっている。やたらと体力を使うので、食が進む。これもありがたいリーダーの配慮なのであった。 と言うわけで、順番が確定。一人づつ神妙に器に盛る。どの顔も真剣かつ複雑な表情であった。そして、全員が盛り終わる。 ヤミ鍋のマナーとして、食べるときに先ず大きな声で「いただきます」をする。これは普段でも行ってると思うが、特に大きな声で言うことでヤミ鍋の恐怖に打ち克つのだ。そして、ニオイをかぐ。それぞれが漏らした「ニオイ」を表す言葉が、更にみんなの恐怖を煽っていくようだ。次に汁をすすって味見をする。 「う、うまい・・?!」 これは意外だという言葉が聞こえてきた。この言葉、実は禁句なのである。なぜなら、この後の隊長の言葉は決まって、 「うまいなら、みんな完食しような!」 なのである。案の定、隊長の口からその言葉が飛び出した。思わず「しまった」と顔を見合わすスカウトたち。ニンマリとする隊長。これがあるから楽しいのだ。そうして、ここから本当のヤミ鍋バトル一本勝負がはじまった。勝つためには、そう、食うしかないのだ。無言、唸り、雄叫び、絶叫そして涙・・・・・。見ている私も辛い??のだよ。(ホントかな・・・) そして、全員見事に完食したのだった。 ![]() ところで、みんなは、ご飯を食べる前に必ず「いただきます」と言っているだろう。この「いただきます」ってどういう意味か知ってるだろうか? 実はそれは「生き物の命をいただく」ということなのである。 我々が食べるすべてのものには命がある。その動植物が命を絶つことで、我々が生きていくことができる。つまり、「いただきます」という言葉には、「みなさまが命を絶ってくれたおかげで、我々が生きることができます。その感謝を込めてあなたを美味しくいただきます。」という意味なのである。 よく「残さず食べなさい」と「好き嫌いをしてはいけない」等と言われていると思うが、残したり、好き嫌いは、せっかく命を絶ってくれた動植物に対して非常に申し訳ないことなのである。 「いただきます」 ご飯を食べる前、もう一度この言葉の意味を思い出し、感謝して食べましょう。 |